催眠術ってなに!

あなたは催眠術ってご存知ですか? TVなどでときどき放映される事がありますが催眠術者(催眠術をかける人)のかけ声や誘導で眠りにつく被催眠術者(催眠術をかけられる人)を見て驚きませんか。

 

催眠状態に入った被験者は催眠術者のいうように手が机から離れなくなったり、合唱した両手がくっついて離れなくなったり、ただの水を催眠術者が「砂糖水です。」というと「あまい」と言ったり味覚まで支配されます。

 

どうして、いとも簡単に被験者は催眠状態になり催眠術者にあやつられてしまうのでしょうか? 催眠術という、いかがわしい名前。術という怪しい響きを持つ言葉。「催眠術ってなに?」

 

今回はこんな怪しい響きを持つ催眠術についてご説明していきます。

 

催眠術ってどうやってかける!

 

催眠状態というのは、覚醒状態と睡眠状態の間の状態と思われます。

覚醒は意識がはっきりして色々な雑念もありますが睡眠は意識がなく雑念もなく話しかけられても分かりません。深い睡眠時は、身体を触られても分かりません。

 

でも催眠状態というのは、意識もはっきりしていて話しかけられてもはっきりわかり、身体を触られると分かり、しかも意識が集中していて覚醒時のような雑念がありません。

 

こんな状態に導くのが催眠術です。はたしてどうやってかけるのでしょうか?催眠術をかける方法についてご説明いたします。

 

【施術方法】

30センチくらいの糸の端に5円玉を結び、糸の先端を指先でつまみコップの中に、この5円玉をぶら下げます。5円玉をジッと見つめながら心の中で5円玉が「自然に動きだす。」と思って見ていると5円玉が静かに動き出します。動き出したら「もっと激しく揺れる。」と思います。

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 すると、そのうちに揺れ方がしだいに激しくなって、コップのふちに当たって「カチカチ」と音を立てるようになります。これは「5円玉が動く」という観念が自己暗示となって体に作用し、筋肉の運動を引き起こすのです。

 

この「5円玉が動く」という自己暗示を他者がかけてやると他者による催眠誘導となります。この観念運動を利用して催眠状態に導きます。観念運動から入る催眠法として、「手の開閉による催眠法」・「手の動揺による催眠法」・。「体の動揺による催眠法」などがあります。

 

一例として「手の開閉による催眠法」をご説明します。

 

手の開閉による催眠法

  • 被験者を椅子に座らせ体をゆったりと楽にさせます。
  • 両手を合掌させて静かに目を閉じさせます。
  • 被験者の両手を甲の方から取って、左右に開き、また閉じながら、手の力を抜いて楽にさせます。
  • 被験者の両ひじに軽く触れながら、「ひじの力を抜いて」といいます。
  • 被験者の心がよく落ちついたのを見とどけてから、「私が手が開く、というと、手がスーッと開いていきます。自分で開いてはいけません。手は自然に開いていきます。」といいます。
  • 次に語調を強くして「さあ、合わせた手が離れて開きます。もっと早く、もっと早く開く。」といえば、被験者の手が離れ始めます。
  • 両手が肩幅まで開いたところで、今度は、開いた手がまた元のように閉じるという暗示をあたえます。
  • 被験者の手が合唱するのを見はからって「その手はもっと、もっと固くくっつきます」というと、両手は密着して指先がかすかにふるえるくらいになります。

 

  • このときに「さあ、その手はもうどうしても離れない。」と強く暗示すれば、被験者の両手は硬直状態となって、どんなにもがいても手は離れない。完全な催眠状態に入ったのです。

 

催眠術、かかるとどんな状態になる!

 

催眠術にかかるとどんな状態になってしまうのでしょうか。催眠術にかかった状態についてご説明いたします。

 

【催眠状態】

暗い静かなところで、自分だけは座っているような感じで、頭の中がまったく空になって、なんの考えも浮かんでこない。そばの音も何も聞こえないが、自分の存在だけは、はっきり分かっている状態です。

 

催眠状態は放心状態に近いもので、意識はあるが自発的な意思の活動がほとんどなく、無念無想といった状態で、眠りかけに近い状態です。

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このような催眠状態になった被催眠者の意識は、どんな暗示も矛盾を感じないで無批判に受け入れ、運動や知覚の異常が容易に起こります。

 

たとえば「あなたの手は膝にくっついて離れない。」と催眠術者が言えば、どんなに手をあげようとして、もがいても手をあげることができません。

 

「手があがらない。」くらいの簡単な動作だけでなく複雑な運動や触覚、味覚、聴覚、嗅覚(きゅうかく)の全感覚さえも催眠術者の意のままにできます。

 

催眠術を解くにはどうする!

 

催眠状態の人を覚醒させる方法は、施術者が「私が三つ手をたたくと目が覚めます。目が覚めた後は、気分がサッパリしていい気持ちです。」といって、しばらく間をおき、「ポン」とひとつ手をたたいて「さあ、少し覚めました。」といいます。

 

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 またひとつ手をたたいて「だいぶ覚めてきました。」と続けます。さらにもう一度手を打って、「そら、すっかり覚めました。さっぱりした、いい気持ちでしょう。」と言えばよいのです。

 

もともと催眠術は、かかったままで放っておいても、時間がたてば覚めるものですが、覚めるきっかけを作るために手をたたいたり、指を鳴らしたりします。

 

催眠術って、どんな利用方法がある!

 

催眠術により痛覚の消失も可能になりますから外科、歯科、の手術や無痛分娩にも利用されています。催眠術によって痛覚消失を行うだけでなく、患者の不安感を取り除くこともできます。

 

強迫観念症、神経症などの精神的な病は、患者の無意識の中を見て本当は、なんに不安を抱いているのかを知る必要があります。しかし人間の意識の部分は、氷山の一角と同じです。

 

氷山は海面に出ている部分より海中の部分が数倍あります。海面に出ている部分は意識の世界で目に見えますが、海中の部分が目に見えない無意識の世界です。

 

無意識の世界は、泥酔状態になり意識が薄くなると現れますが催眠術で催眠が深くなっていくと、人間の無意識の部分に入り込めます。そこで真の不安を知り、暗示で真の不安を解消していくことができます。

 

催眠術を利用して治療に役立てている精神科医が多く存在します。

まとめ

 

催眠術は知能の低い人にはかかりません。施術者の話す暗示の言葉が理解できないからです。知能の高い人ほどかかり易いようです。

 

催眠深度が軽い人が35%・中くらいの人が35%・深くかかる人が25%、そしてどうしてもかからない人が5%ぐらいいるようです。