不退去罪ってどんな罪!
1月16日、全国で行われた「大学入学共通テスト」。東京都江東区の試験会場でマスクから鼻が出た状態で試験を受けて失格となり、試験会場から退去するように要請されたがトイレに閉じこもって退去しなかった受験生が警視庁深川署に不退去容疑で逮捕されました。
このニュースをTVで見てビックリ。こんなことで逮捕されちゃうの!そして逮捕容疑の不退去罪も初めて聞く罪名で、二度ビックリ。
不法侵入は、たまたま聞く罪名ですが不退去罪は聞いたことがありませんでした。
今回は不退去罪とは、どんな罪でどんな罰則なのかについてご紹介いたします。
不退去罪は逮捕される?
今回の受験生は現行犯逮捕されましたが不退去罪とは、どの様な罪でしょうか。不退去罪は刑法第130条に該当します。
第130条 :正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役、又は十万円以下の罰金に処する
この受験生の場合は、人の看守する建造物(試験会場)から出ていくように試験官から要求をうけたがトイレに閉じこもり長時間退去しなかったことで不退去罪が成立し、現行犯逮捕となってしまいました。
不退去罪の罰則は軽い、厳しい!
不退去罪の罰則は3年以下の懲役または10万円以下の罰金です。
出ていくように要求されたのに出ていかないだだけで「3年以下の懲役、又は10万円以下の罰金」は、少し厳しいですが不退去罪にはどんなケースがあるのでしょう。
◎店に入りクレームを付けて店員と口論になり店員や店長に店を出ていくよう要求されたが要求に従わず長時間にわたり店に居座り続ける。
◎しつこい訪問販売で家の人から「帰ってくれ」と要求されたのに
しつこく居座るケース。
◎今回の事件のように試験会場で他の受験生に不安をあたえる鼻だしマスクをして、試験官に6回も注意されたにもかかわらずに訂正せず、他の部屋に移るように説得されても移動しないため、試験会場から退去を命じられたがトイレに入り長時間居座るケース。
住居侵入罪(不法侵入)と不退去は違う罪!
住居侵入罪(不法侵入)と不退去罪の違いは、入ってはいけない場所(他人の家、他人が所有する建物)に勝手に入る罪が住居侵入罪で、入って良い場所(友人の家、親せきの家、店、公共の施設等)に入っても、退去を要求されたのに退去しない罪が不退去罪です。
刑法103条の前半部分、正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、の行為が住居侵入罪になります。
刑法103条の後半部分、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、が不退去罪になります。
不退去罪で逮捕されたらその後どうなる!
不退去罪で警視庁に逮捕された鼻だしマスク受験生は、翌日釈放されました。「微罪処分」と思われます。
軽微な犯罪の場合は「微罪処分」というものがあり、その後の刑事手続きを行わず、釈放されます。「微罪処分」の判断は、警察が行いまい、身元引受人がいれば身柄が解放されます。
微罪処分では前歴がつき、微罪処分になった記録が警察、検察の記録に残りますが前科はつきません。
まとめ
◎しつこい営業活動で相手から出ていくように命じられているのに退去しないでいると不退去罪が成立します。
◎軽微な犯罪の場合は「微罪処分」というものがあり、その後の刑事手続きを行わず、釈放されます。
◎不退去罪で初犯の容疑では微罪処分とされることも多いです。
◎微罪処分では前歴がつき、微罪処分になった記録が警察、検察の記録に残りますが前科はつきません。