ちょっとした出来心が、とんでもないことになってしまった!
その日、彼女は夫といっしょに市内へ買い物に出かけていました。
そのついでに灯油の安売り店で灯油を90リッターほど購入し、車のガソリンメーターを見るとガソリンも少なくなっていました。
そこでガソリンも給油しようと開いている給油ピットに車を止めようとしましたがその給油ピットで「ピー・ピー・ピー」と激しい警報音を耳にしました。
前に給油したお客さんがお釣りを取り忘れてしまったのです。あなたならどうしますか。彼女はとっさに面倒だと感じてお金を取り、車のフロントの上に置いて給油を済ませました。
このスタンドはセルフでしかも従業員がシルバー。しかも少人数のため呼び出しで呼ばないと来てくれません。彼女は周りを見わたしたが案の定、従業員は見当たりません。
急いでいた彼女は、そのまま走り去ってしまいました。これが後ほど大変なことになってしまうのです。
今回は身近に起きた「ちょっとした出来心がとんでもないことに!」についてご紹介いたします。
突然、刑事が家にやってきた!
先客が取り忘れた釣銭をもってきてから3週間くらいが経ったある日。
自宅に警察車両が横付けされ、二人の刑事が家にやって来たのです。彼女が玄関に出て応対しましたが、見る見る彼女の顔が青ざめていきました。
釣銭を忘れた人が警察に被害届を出したのです。被害届を受理した警察が捜査をして、彼女を窃盗犯と断定して任意の事情聴取に応じるようにやってきたのでした。
釣銭を「ネコババ」する行為は、窃盗罪になるようです。ネットで調べるとこのような形で窃盗犯となった人は大勢いるようです。うっかり釣銭を持ち帰って窃盗罪で逮捕された例もありました。
窃盗犯側から言わせたら「あんたが忘れないで釣銭をもっていきゃこんな事にはならないのに」と言いたくなりますよね! 釣銭を忘れると「ピー・ピー・ピー」と機械が大きな音で釣銭を取るまでなっています。これがわからんのか!
彼女の場合は1万円で給油した先客が2千円分給油して、8千円もの釣銭を忘れていったのです。「ピー・ピー・ピー」の甲高い警告音にも気が付かずに!
忘れた釣銭の「持ち主」は、先客、スタンド!どっち?
忘れた釣銭の「持ち主」は、誰でしょうか。それは「給油スタンド」または「釣銭を忘れた客」です。釣銭を忘れた客が気付いて取りに来たら「釣銭を忘れた客」にお金が渡ります。
釣銭を忘れた客が気付いて取りに来るまでは、給油スタンドが「持ち主」になります。
そして、それを勝手に頂戴してしまうとスタンドのお金を窃盗したことになるのです。道でお金を拾って頂戴するのとは、ちょっと事情が違うようです。
昨年7月、北海道紋別市落石町のガソリンスタンドで他の客が忘れていった釣り銭4000円を盗んだとして40歳の北海道猿払村役場の40歳の役場職員の男が窃盗の疑いで逮捕されました。
ほんのちょとした出来心で前科者のなってしまうのです。注意しましょう!
窃盗罪はどんな罰になる!前科は付く!
では、窃盗罪はどんな罰を受けることになるのでしょうか。
刑法第235条(窃盗)では「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」となっています。
必ず懲役刑にはならず、状況によっては罰金で済む場合もあります。
初犯で数千円の窃盗であれば、盗ったお金を返し反省の姿勢を見せれば前歴という記録が残るだけで済む場合もあります。
先の彼女の場合は、警察で取り調べを受け、真摯に反省している姿勢が認められ初犯でもあるために、警察に呼ばれた被害者に被害金額8千円を返して、無事釈放されました。
魔が差したとしか言いようのない事件であり、身近に潜む「小さな危険」を感じました。
和歌山県警田辺署管内では近年、給油所を利用した人の取り忘れた釣り銭が盗まれる被害が相次いでいて管内のセルフ給油所に、釣り銭の取り忘れや窃盗への注意を促すチラシを掲示しているそうです。
まとめ
◎セルフ・ガソリンスタンドの忘れた釣銭は、迷わず、スタンドの事務所に届けましょう。
◎届けないで持ち去った場合は、「窃盗罪」となり10年以下の懲役又は50万円以下の罰金となってしまいます。