脊髄刺激療法ってなに?どんな治療方法なの?
脊髄(せきずい)刺激療法という疼痛(とうつう)の緩和治療法がありますがご存知ですか?
脊柱管狭窄症(せきちゅうかん・きょうさくしょう)、帯状疱疹(ほうしん)後神経痛、末梢血管障害による傷み、脊髄(せきずい)損傷後の痛み、脊椎(せきつい)手術後の痛み、幻肢痛などの疼痛を一時的に緩和する治療法です。
脊柱管狭窄症を根治するためには、大手術が必要です。そのために高齢の患者さんなどは、なかなか手術に踏み切れないでいます。
加齢による身体のパーツの摩耗で様々な痛みが襲ってきます。でも整形外科に行くと先生の定番のセリフ「年だからな~」で終わりです。
そんな患者さんを痛みから救ってくれるのが脊髄刺激療法です。今回は「脊髄刺激療法ってなに?」についてご紹介いたします。
脊髄刺激法ってどんな仕組み!
痛みの感覚は、痛みの信号が神経から脊髄を通って脳に伝わることで認識されます。脊髄刺激療法で脊髄に微弱な電気を流すことにより、痛みの信号が神経から脊髄を通って脳に伝わるのを妨害して
痛みを軽減します。
脊髄刺激法の仕組み(SCS)は、脊髄の硬膜外腔に電極(リード)を挿入し、体内に取り付けた刺激装置から脊髄に弱い電気刺激を与えるものです。
最初は脊髄に電極だけを埋め込み、体外に出したリードから試験用刺激装置を使い1週間くらい効果を試験します。
効果が感じられなかったらここで終了し、電極を取り除きます。
効果が確認されたら、刺激装置の体内への埋め込み手術となり、3週間くらいの入院となります。
脊髄刺激療法に使用される機器は、どんなものがあるの?
脊髄刺激療法に必要な機器は、電極・刺激装置・リモートコントローラーの3点になります。
1.刺激電極(リード)
脊髄に電流を流すための電極が先端についている導線です。試験刺激(トライアル期間は1週間)では脊髄刺激療法の効果を判定をするためにリードのみが埋め込まれます。
2.刺激装置(ジェネレータ)
脊髄に弱い電気刺激を与える装置です。内蔵された電池で稼働し、電池が消耗すれば、刺激装置ごと交換します。電池の寿命は2年~5年程度です。定期的な充電が必要ですが充電式の電池もあります。充電式電池の寿命は、9年です。
3.リモートコントロール
患者さん自身が体外から刺激装置の上に当てて、刺激信号の強さの調節や刺激装置のON・OFFができます。
脊髄刺激療法はどんな手順で進められるの?
脊髄刺激療法を行うためには、体内に電極の埋め込みから始まって次のような手順で進められていきます。
- 局所麻酔を使い、専用の針(硬膜外針)で刺激電極リードを皮膚から脊髄硬膜外腔に挿入します。
- 痛みの部位に刺激を感じるように、患者さんと話しながら電極リードの位置を決定し電極を埋め込みます。体外から試験用刺激装置を使用し、試験刺激(約1週間)のトライアルを行います。
- 効果が 確かめられた上で、体内に刺激装置を埋め込みます(本埋め込み)。入院期間は3週間程度になります。
以上が脊髄刺激療法の刺激装置(本体)と電極リードの取り付けの手順です。
脊髄刺激療法は、どんな痛みに効くの?
脊髄刺激療法は、手術後 に残る痛み、触るだけで痛いまたは焼けるような痛みなどの慢性難治性疼痛に効果的です。
【主な慢性難治性疼痛】
・脊椎(せきつい)手術後の痛み
・末梢血管障害(閉塞性動脈硬化症、バー ジャー病、レイノー病など)による痛み
・脊椎・脊髄(せきずい)疾患、脊柱管狭窄症(せきちゅうかん・きょうさくしょう)などによる痛み
脊髄刺激療法により、痛みが少しでもやわらぐことによって、日常生活における活動の幅が広がるため生活が豊かになるという効果が期待できます。
まとめ
「脊髄刺激療法ってなに?どんな治療方法なの?」についてまとめました。
・脊髄刺激療法は、慢性の難治性疼痛の痛みを半減させる治療方法です。
・脊髄刺激療法は、疼痛を根治させる治療方法ではありません。
・脊髄刺激療法は、体内に植え込んだ刺激装置にから脊髄に微弱な電気を流し、痛み信号の伝わりを妨害します。
私の知人が慢性の足の痛みで毎日、鍼灸医院に通院していました。整形外科にいってもX線検査、MRI検査ともに「異常なし」の判定。でも痛い、やむなく鍼灸医院で治療の毎日でした。
ある日、通院している医者からこのニュースを知り、意を決して
この手術を決行。長かった痛みから解放され、喜んでいます。